一人運営で、カット、カラー、パーマのフルセットのお客様を対応する場合、
1日上限5名の受入が限界だと話す美容師さんに以下のように聞いてみました。
「施術人数1日5名が限界と言いますが、もし新卒であってもアシスタントが居れば最大で
何人ぐらい対応人数が増やせそう?」
「未経験の全然使えないスタッフでも居れば現状より1日2~3名は多く対応できるようになる」
だったら迷わず雇うべきです。
どんなに未経験のアシスタントでも居れば対応人数を増やせます。
1日2名多くの客を増やせれば、月間営業日数が24日なら、月間48人多く対応できるということです。
客単価6000円×48人で月間約30万円前後の売上アップがのぞめます。
これなら、経験薄のアシスタント給与を払っても十分利益が出せます。
開業時から従業員雇用した店のほとんどは1年以内に月間売上100万円を超える傾向があります。
一方、開業後1年経過したら従業員を雇用しようと計画していたオーナーさんは、実際に3年後、5年後の段階になっても、一人運営のままであることがほとんどです。しかも月間売上100万円を超えられないまま過酷な環境で一人運営しているのです。ではなぜ、いつまでも従業員を雇用しないのでしょうか?
ここにも、美容師さん特有の技術者気質が関与しています。
一人運営で開業し1年後、身体を駆使しながらも、なんとか70万円の売上をあげられるようになってきた頃の心境を想像してください。
この段階での従業員雇用は開業当初よりも格段に恐怖感が増大しているはずです。
まだ開業2年目の不安定な運営事情の中、給与支払いも出費であり、やっぱり怖い!
しばらくの期間はこのまま一人で頑張ってみようという思考になってしまうのです。
日々ハードで長時間に及ぶ仕事を長年経験してきた美容師さんは、持ち前の気質で今まで以上に頑張ってしまいます。美容師さんは元来根性的気質があり、もっと頑張ろうという考える癖があります。これは、美容師さんの素晴らしさでもあり、反面、危険な部分です。
このように開業1年間、一人運営を経験してしまうと、やがてそれが習慣化し、それが”通常”になってしまいます。
結局3年経っても、5年経ってもずっと一人運営を続けてしまいます。
そして、いつの間にか一人運営の70万円ぐらいの売上状況でも、それなりの満足をし、とかく何年経っても変わらず一人運営をします。しかし、10年後には、体力も気力も少なからず低下してくることは避けられません。
10年後の自分のためにもスタートから従業員と共に運営をしていくグループ体制での運営を始めるべきです。
全ては将来のため、運営開始時からチーム連携の運営スタイルを癖付けしていくべきです。
確かに従業員を一人前に育てていくプロセスはとても大変なことです。普段の労力より格段に大変で、とても神経をすり減らすことでしょう。また、最初に雇った従業員が変わらずずっと自分のそばにいてくれるかも疑問です。ですが、仮に従業員が何度入れ替わろうがそれで良いのです。
最初から従業員を雇い、運営を始めた開業者さんは、仮に途中でその従業員が辞めてしまっても、必ず長い期間を空けずに再び従業員を補充するようになります。
運営のスタート時からグループ連携を体感した以上、従業員なしで売上を効率良く上げることが不可能であることを深く理解するからです。
従業員を一生涯面倒をみるとか、ずっと自分の店に居てもらいたい、という基準にこだわらず従業員が何人入れ替わろうが、それすらも想定内と捉えて、臆することなくチャレンジするべきです。
2人目、3人目と従業員雇用を経験していくと、いつか従業員雇用の大切なエッセンスを身に着けている自分に気付くでしょう。従業員との関わり方、扱い方、モチベーションの上げ方、距離のとり方など、やがて従業員のとの関わり方が上手な経営者になるはずです。
もし離脱していく従業員がいたとしても、未熟な経営者である自分はまだ、
従業員教育という新たな仕事において初心者だっただけの話です。
多くの従業員との関わりから学び、従業員の意気を上げたり、他店よりも少なからず待遇の良い雇用環境など、従業員が喜ぶ上手な雇い方や環境の作り方を実体験の中から得ていくのです。そして、やがて育った有能な従業員たちは、いずれ自分の為に協力をしてくれるようになります。
一人運営をしていく場合、病気で3日間寝込んだら、その3日間の売上は文字通りゼロです。
でも一日も早く従業員との連携を取り、共に店を盛り上げていければ、従業員もやがて技量を上げスタイリストとなり、遂には自分の分身として、病欠した時でもフォローしてくれる頼もしい人材になります。そして経営者の3日病欠でも、従業員さえいれば変わらず収入が途絶えない運営体制が得られます。
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