10年後の健全経営を見据えた美容室の独立開業のお手伝い ヘアサロン開業アカデミー

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美容室開業後の運営について

美容室の独立開業をしたものの、僅かな期間で退店をせざる得ない状況になってしまってはまるで意味がありません。
肝心なのは開業後、長期的な健全運営に繋げなければなりません。
お店を持つことが目的ではなく、未来永劫、健全な運営の為の独立開業をめざしましょう。
今回は特に開業後の運営についての重要なアドバイスをまとめてみました。

独立開業の真の目的は「お金と時間」の獲得

美容師さんの不満には、労力の割に報酬が低くて不満である。
恋人や子供と過ごす時間が得られなくて辛い。
突き詰めていくと、これらの不満のすべては、

「時間とお金」この2つの問題です。

すでに経営者として高額報酬を得ている人でも、実は切なる不満を抱えているものです。

お金は十分にあるけれど、どうにも時間がない。お金はもういらないから、時間が欲しい。

流行っているお店を外から見ればとかく幸せに見えるものでが、運営の当事者の本音は意外にも幸せを感じていないこともあります。
美容師さんは、独立したら一生懸命仕事し報酬を増やすため頑張り続ける!と心に決めているはずです。
しかし、いずれお金は得られるようにはなれたけど、その代わりに時間を失った。このような結末は本当に辛いことです。

開業という新しい人生のスタートには必ずこの「お金と時間」の2つを同時に得ることにこだわる必要があります。

技術畑で育った美容師さんはこの感覚が乏しい傾向があります。

開業したら、今まで以上に頑張って、もっと多くの客に対応し身体が朽果てても頑張り抜く!

これは非常に危険な考えです。

生涯、施術担当者(プレーヤー)のままという基準を考え直す

今までよりレベルアップを目指す開業計画は、経営者として生まれ変わる人生の仕切り直しです。

以前より労力は節約して報酬は格段に増やせるような効率化にこだわるべきです。

仮に30代独立しても、10年後の40代も開業前と変わらず、常に全力投球の日々を送っているようでは独立開業の意味がありません。開業から10年後には、スタート地点の半分以下の労働量でも報酬は3倍~5倍に必ず増やすという理想を大いに追求して良いのです。
技術育ちの美容師さんは、この部分の意識改革が非常に苦手です。
経営の本質は、効率化、合理化、システム化。すなわち上手にズルくなることです。
ズルするなんて、ダメな人? 不真面目を表す言葉?
そんな葛藤が起こるでしょう。いや、悪ではない!さすがだ!世の敏腕経営者の視点はそういう見方をします。
上手にズルをするというのは働かない怠け者になることではなく、日々身体を酷使する仕事スタイルから抜け出することを指します。

できるだけ早く分身となる優秀なスタッフを育て上げ、そのスタッフのための仕事を増やすことに務める。それが優秀な経営者の考え方です。

とにかく時間を掛けながら自分と同等以上の技量を持つ人材を一人でも多く増やすことを目指すのです。
開業後、まずはその段階まで頑張る必要があります。やがて人材が育った頃、その従業員たちが忙しすぎず、暇すぎず、テンションも平穏でいられるような、程よい仕事量のバランスを追求して店全体のパフォーマンスが決して落ちないよう管理する仕事に切り替えるのです。これにより、必ず店はより多くの利益を得られるようになるはずです。
結果、従業員も同年代、同レベルの美容師に比べて高報酬を得られるようになり良好な雇用環境に身を置けます。

ただし、必ず経営者である自分が従業員の誰よりも多くの報酬を得なければいけません。

経営者は従業員の誰よりも大きなプレッシャーを受けながら多額の先行投資をして、
必死で最初の仕組作りをした人であり、道を開いた人です。もちろん運営が軌道に乗るまでは、ある程度の努力と時間が必要となります。しかし、最初に掲かかげた目標を果たすの為に運営しながら先々の準備してゆくわけです。順調に功を奏せば必ず後で大きく回収ができます。
最初に投資した多額資金の元を取り、プラスに転じるまで何度も試行錯誤し、後々収穫するのです。
経営者になることは、決してズルをして働かなくなるのではなく、実労働という仕事から仕組みづくりや、従業員の出番を多く作るという新しい仕事にスタイルチェンジすることなのです。

一人きりでの運営を視野に入れた独立開業は考えもの

美容師さんの独立開業の計画には、一人のみで開業し先々もずっと一人で経営していくという計画を持つ人も多いもの。何故、一人きりでやっていこうとするのでしょうか?
「従業員に払う給与って大きな負担」
「従業員を育てることが苦手」
「人が一番大変。苦労を背負い込みたくない」
しかし、一人運営美容室が月間100万円以上を売上げるのは極めて稀です。

すべて一人で業務をこなす以上、どんなに客を受け入れても月間売上が100万円に達しません。

開業前の旧職場では1日10名の施術担当をしていたとしても、そのお店ではアシスタントのサポートがあったり、予約管理は受付担当がやってくれたり、その店の確立されたシステムが存在する上での仕事量です。
毎日10名担当していたからといって、一人運営で同じような人数をこなせるものではありません。

実際の平均データとして、月間売上は70万円前後が限界です。

もちろん、さらにお客様を受け入れて頑張れば100万円に到達させることは可能かもしれません。しかし実際には身体がもちません。
一人運営では、1日に対応できる施術人数の限界は4~5名ぐらいといわれます。しかも、その客のすべてが単価1万円以上の施術依頼をしてくるわけではありません。これでは月間100万円以上の売上げは困難であることは想像できるはずです。
開業直後から始まる運営はまさしく長距離マラソンです。
むしろマラソンより大変で、一生涯走り続ける必要があります。歳をとっても必死で無理をして頑張り続けようという考え方は、経営視点では疑問視されます。気合だけで開業し、一人きりで続けた結果、身体を壊してしまっては問題です。従業員を雇うのは苦手という考えは開業前に考え直すべきでしょう。

運営スタート時から従業員を雇うべき

一人運営で、カット、カラー、パーマのフルセットのお客様を対応する場合、
1日上限5名の受入が限界だと話す美容師さんに以下のように聞いてみました。
「施術人数1日5名が限界と言いますが、もし新卒であってもアシスタントが居れば最大で
何人ぐらい対応人数が増やせそう?」
「未経験の全然使えないスタッフでも居れば現状より1日2~3名は多く対応できるようになる」
だったら迷わず雇うべきです。

どんなに未経験のアシスタントでも居れば対応人数を増やせます。

1日2名多くの客を増やせれば、月間営業日数が24日なら、月間48人多く対応できるということです。
客単価6000円×48人で月間約30万円前後の売上アップがのぞめます。
これなら、経験薄のアシスタント給与を払っても十分利益が出せます。

開業時から従業員雇用した店のほとんどは1年以内に月間売上100万円を超える傾向があります。

一方、開業後1年経過したら従業員を雇用しようと計画していたオーナーさんは、実際に3年後、5年後の段階になっても、一人運営のままであることがほとんどです。しかも月間売上100万円を超えられないまま過酷な環境で一人運営しているのです。ではなぜ、いつまでも従業員を雇用しないのでしょうか?
ここにも、美容師さん特有の技術者気質が関与しています。
一人運営で開業し1年後、身体を駆使しながらも、なんとか70万円の売上をあげられるようになってきた頃の心境を想像してください。
この段階での従業員雇用は開業当初よりも格段に恐怖感が増大しているはずです。
まだ開業2年目の不安定な運営事情の中、給与支払いも出費であり、やっぱり怖い!
しばらくの期間はこのまま一人で頑張ってみようという思考になってしまうのです。
日々ハードで長時間に及ぶ仕事を長年経験してきた美容師さんは、持ち前の気質で今まで以上に頑張ってしまいます。美容師さんは元来根性的気質があり、もっと頑張ろうという考える癖があります。これは、美容師さんの素晴らしさでもあり、反面、危険な部分です。
このように開業1年間、一人運営を経験してしまうと、やがてそれが習慣化し、それが”通常”になってしまいます。

結局3年経っても、5年経ってもずっと一人運営を続けてしまいます。

そして、いつの間にか一人運営の70万円ぐらいの売上状況でも、それなりの満足をし、とかく何年経っても変わらず一人運営をします。しかし、10年後には、体力も気力も少なからず低下してくることは避けられません。

10年後の自分のためにもスタートから従業員と共に運営をしていくグループ体制での運営を始めるべきです。
全ては将来のため、運営開始時からチーム連携の運営スタイルを癖付けしていくべきです。
確かに従業員を一人前に育てていくプロセスはとても大変なことです。普段の労力より格段に大変で、とても神経をすり減らすことでしょう。また、最初に雇った従業員が変わらずずっと自分のそばにいてくれるかも疑問です。ですが、仮に従業員が何度入れ替わろうがそれで良いのです。
最初から従業員を雇い、運営を始めた開業者さんは、仮に途中でその従業員が辞めてしまっても、必ず長い期間を空けずに再び従業員を補充するようになります。
運営のスタート時からグループ連携を体感した以上、従業員なしで売上を効率良く上げることが不可能であることを深く理解するからです。
従業員を一生涯面倒をみるとか、ずっと自分の店に居てもらいたい、という基準にこだわらず従業員が何人入れ替わろうが、それすらも想定内と捉えて、臆することなくチャレンジするべきです。
2人目、3人目と従業員雇用を経験していくと、いつか従業員雇用の大切なエッセンスを身に着けている自分に気付くでしょう。従業員との関わり方、扱い方、モチベーションの上げ方、距離のとり方など、やがて従業員のとの関わり方が上手な経営者になるはずです。
もし離脱していく従業員がいたとしても、未熟な経営者である自分はまだ、

従業員教育という新たな仕事において初心者だっただけの話です。

多くの従業員との関わりから学び、従業員の意気を上げたり、他店よりも少なからず待遇の良い雇用環境など、従業員が喜ぶ上手な雇い方や環境の作り方を実体験の中から得ていくのです。そして、やがて育った有能な従業員たちは、いずれ自分の為に協力をしてくれるようになります。

一人運営をしていく場合、病気で3日間寝込んだら、その3日間の売上は文字通りゼロです。
でも一日も早く従業員との連携を取り、共に店を盛り上げていければ、従業員もやがて技量を上げスタイリストとなり、遂には自分の分身として、病欠した時でもフォローしてくれる頼もしい人材になります。そして経営者の3日病欠でも、従業員さえいれば変わらず収入が途絶えない運営体制が得られます。

開業から1年間は満足な手応えが感じれないもの

優秀な経営者は従業員なしでは、将来大きな発展がありえないことをよく理解しており、すべてにおいて初期段階の仕組みづくりにエネルギーを費やす習慣を持っています。いわゆる種をまき、水をやり、花が咲くまでの時間がある程度必要であるという法則をきちんと認識しています。従業員が育つまで一定の時間がかかり、開花の時期が、すなわち従業員の技量が上がり、連携が巧たくみになれた段階であり、ここからが本当の収穫の時期であることをわかっているわけです。

とかく、美容師さんは開業をしたら即収穫に繋げようという基準で運営をスタートしがちです。

しかし優秀な起業家の考え方を手本にして、開業から3年ぐらいまでの期間はこの種まき、水やりを一生懸命やり、今までのような施術仕事だけに没頭するのではなく、従業員を含めたチームづくり、グループ体制確立の準備をしていく期間と考えましょう。優秀な経営者は、創生期の段階で他人より多くの苦労を背負い、システムを作ることに多くの労力を注ぐものです。さて、それは何のためなのでしょう?

すべては将来、今までより大きな収穫を得るための仕組みづくりの為です。

開業スタートから5年後、10年後を想像してみてください。
一人体制か? グループ体制か?この選択一つで将来は大きく異なるはずです。

開業初期は休日なしでも頑張ろうという考えは危険!

開業したらしばらくは休日なし、あるいは休日は最小限にする。
長い運営が前提とすればこれは非常に危険な考え方です。
これは業種を問わず共通で新規創業オーナーが陥おちいりやすいことです。
どの業種であっても、開業から1年前後は思うように運営が軌道に乗らないものです。
「お店が軌道に乗るまでは、休めなくても仕方がない」
「まずは無休で始めて、軌道に乗ったら、いずれ休みを増そう」
しかし無休でスタートした店は、何年経っても無休運営を続けるようになる危険性があります。

これは、開業初期から軌道に乗るまでの多忙な体感に慣れて(麻痺して)しまうからです。

誰でも安定するまでは無休でも頑張れるかもしれません。しかし売上が良くなってきた頃に、そろそろ休日を増やそうとは思えなくなってしまうのです。経営とは、”いずれ安定したら”と思っていても、

実際運営の渦中では “安定した”という実感など決して得られないものです。

月間たった1日の休日を増やすことにより、1日の売上分が前月よりも減ってしまう恐怖感の方が勝ってしまいます。実際、創業時に無休運営を宣言した開業者さんが、数年後に休日を増やし家族や自分の為に時間を得ている率はとても低いのです。よくある事例として、開業初期の日々の大変さ、忙しさも、いつしか “普通”になってしまいます。
「最初は身体がキツかったけど、慣れたから大丈夫」

仮に1日平均売上が10万円にも達するサイクルに達したような場合、文字通り、
1日休日を増やせば売上が10万円減ってしまう!
「売上を落とすぐらいなら、今までどおり頑張ってみよう!」
このループに身も心も陥おちいっていくことになります。
やがて「休みたいけど、全然休めない。」と悲鳴をあげることになります。
開業して5年で売上は好調な成績で繁盛店となっているにも関わらず、どういうわけか5年間で自らお店を閉めてしまう。この理由の多くは、

売上は良いが身体を壊してしまったという実例です。

開業時の段階から”休日返上!”なんて、決して考えてはいけません。開業時からきちんと休日を確保した上で目標売上が得られる算段を開業前の段階から追求することです。

開業1年目の経理事務について

独立開業した美容師さんにとって、以前の従業員時代とは異なり、開業後は今まで味わったことのないような新たな仕事が増えることになります。そんな中に経理があります。

開業前から精力的に経理や税務に関する勉強をする美容師さんもいるようですが、

経理事務仕事に関しては事前勉強ではなく運営が始まってからリアルタイムで学んでいけば良いのです。

最初から税理士や会計士に任せっきりにするような依頼はしないことです。
多くの開業者さんは運営が始まったら早速、税理士、会計士さんに顧問契約を結んでしまいがちです。
特に開業1年間の経理は、会計業務の基礎知識、帳簿の付け方、入出金管理など、経理業務すべてを依頼するのではなく、

オーナー自身で経理がこなせるようになる様に”教えてもらう”という考え方です。

まずは1年間の入出金バランス、最低限の事務作業さえ実経験すれば、自分の店がどのような運営状況にあるのか、先々の運営方針を自己チェックする習慣が自然に身につくはずです。

開業後1年間はすべてがわからないことだらけで大変ですが、自分のお店の入出金感覚を把握する為と捉えて、経理仕事のイロハを得る目的で”学ぶ”という基準で経営を始めましょう。
税理士や会計士への依頼方法も、依頼者の要望次第で色々あります。
初年度1年間の期間限定契約で、教わりながら基本的には自分でやる。
やがて1年後にあらためて検討し、2年目以降は会計士や税理士への業務代行で全て任せるということなら良いでしょう。

ある程度の入出金感覚が理解できてさえいれば、以降は専門家に依頼し分業措置をとるという選択肢もあるのです。

無知の状態で最初から全てを依頼するか?2年目以降、経理業務の基礎を理解した上で依頼するか?
この2択は、その後の運営や仕事のスタイルに大きく関与していくことになります。

著者:

ヘアサロン開業アカデミー代表
美容室開業プロデューサー

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