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美容室店舗工事の正確な競争見積・相見積(入札)の考え方

単に複数の会社から見積をとるだけでは正確な競争にならない

美容室の開業時において店舗の工事はメインイベントのようなものですね。

そして開業の必要な資金の大半が工事費に使われることになるわけです。
誰でもこの工事費を少しでも安く抑えたいという考えていることと思います。
店舗の事にかぎらず、このような大きな買い物には複数の店(会社)から同時に見積りを取ってみて、

最も安い額面を提示したところから購入する方法があります。

店舗工事でも相見積もり(入札)で少しでも安い会社を探したいわけです。

しかし店舗に関しては、正確な基準を理解していないと本当に安い会社かどうかの判断はできないのです。

 

現在の店舗設計や工事業界のほとんどがデザイン設計と工事を同時に請け負っている会社の方が多いのが現実です。

こうした会社を相手に複数社に見積りを依頼し、最も安いところを探し出そうという狙いでいたとしても、

それは競争が成立しないまるで意味のないレースになってしまうのです。

正しい入札を理解するための例え話

この競争をイメージしやすくするために学生の頃の試験を思い出してみてください。

例えば、

4人の学生を集めてそれぞれに答案用紙を渡し同時に試験をスタートし同時に終了したとします。

4人の答案を集めて採点し点数が高ければ優秀であり、低ければバカ(笑)

 

まず競争を公平にするために絶対に必要な条件は、

この4名が同じ答案用紙に向かっていたかどうかが重要です。

仮にそれぞれが、国語、算数、理科、社会と異なる答案用紙に向かっていたなら、

これは競争ではなくなります。
さて店舗工事に基準を戻して考えてみましょう。

「きちんと複数社に見積りを出させて競争させて安い会社を選んだ」

こう語る人の殆どはこの同じ図面(答案用紙)を使って競争させていないのです。
それぞれの工事会社に依頼している見積りは同じ条件を伝えたつもりでも、

材料も数量も、何もかもが異なる条件での比較でしかないのです。

正しい入札を行うには自分側に付く店舗デザイン設計者が必要

例えば・・・
15坪の店舗に、カット面3面、シャンプー2台、
店舗の雰囲気は、モダン和風のイメージで
見積りと図面よろしくね!・・・こんな感じの依頼をする。
たったこれだけの情報で競争をかけているケースが多いのす。

 

4つの会社から出た見積はそれぞれの会社の見解による設計と、それに基づく見積(積算結果)となります。

A社・・・大理石などを多く使った解釈のデザインによるモダン和風テイスト・・・1300万円の見積

B社・・・木質を多く使った解釈のデザインによるモダン和風テイスト・・・1000万円の見積

C社・・・漆喰壁など左官材料を多く使った解釈のデザインによるモダン和風テイスト・・・900万円の見積

D社・・・普通のペンキ塗りを多く使った解釈のデザインによるモダン和風テイスト・・・600万円の見積

さて、果たしてD社が最も安い会社なのでしょうか?
4社はたしかに各々モダン和風を上手に表現したデザインを提案できていたとしても、

同時に提出された見積書の工事費用に関しては4社は一切基準が一致しておらず、

これではまるで競争が成立していないということになるのです。
学生の試験のように同じ算数の答案用紙があってはじめて正確な競争が成立するのです。

この理屈は店舗に関しても同様であり、

まずは一つの詳細なデザイン設計図面を対象にしなければ競争は始まらないわけです。
同じ材料、同じ物量、同じ時期、同じ工事日数など、4社すべてを同条件にしなければ本当に安い会社は選出できません。

だからこそ、工事業者選出以前に、店舗デザイン設計(いわば答案用紙)を詳細に作り上げておかなければならないのです。

工事業者選びの前段階であらかじめ店舗デザイン設計者とデザイン設計を突き詰め、

店舗デザイン設計者と共に安い工事業者を選ぶ。

この順序が正しい競争見積(入札)のやり方なのです。

著者:

ヘアサロン開業アカデミー代表
美容室開業プロデューサー

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